El Greco Museum

その後、急な坂を下ってEl Greco Museumへ到着しました。ここはEl Grecoが住んでいたと言われた邸宅を、20世紀になってからある貴族が購入し、El Grecoの時代の家屋らしく復元したところに、彼の作品を集めて展示しています。ここで、十二使徒のシリーズを初めて観たのですが、El Grecoに対する印象が随分と変わりました。
というのも、El Grecoの作品は、色が暗めで陰影が濃く、過度にドラマチックな印象で、あまり好きな作風ではありませんでした。でも、この十二使徒のシリーズは、一人一人を肖像画のように描いたものですが、驚くほどに個性豊かに表現されていて、きっともっとキリスト教に対する知識があったら、もっと興味深く理解できただろうなと思いました。なかなか見ごたえがあり、良かったです。
加えて、今回のように一人の作家に集中して鑑賞することも初めてだったので、面白かったという面はあると思います。ToledoはEl Grecoを見たくて選んだ訪問地ではなく、Madridから日帰りできる世界遺産だったというだけなのですが、思いがけず、El Grecoという作家を深く知ることとなりました。これまで、暗くて何とも言えない青白さ、茶色がかった作品だと思っていた彼の作品も、今回Toledoを訪ねたら、家々の壁や屋根の薄茶色(恐らくこの地域の土の色かと)、木々や植物の色褪せたような緑がまさにEl Grecoの作品の色で納得しました。
El Grecoは、フェリペ2世から嫌われ宮廷画家になり損ねてからこのToledoに移住し、亡くなるまでここで過ごしたとか。坂道だらけの不便な街ですが、彼の時代には金持ちの別荘地として栄えていたそう。そのコミュニティにもある程度受け入れられ、自身の信仰心に沿って描きたい作品を描いていたとのことなので、それなりに幸せな生活だったのでしょう。


さて、歩いてばかりになりがちな私の海外旅行ですが、Toledoは石畳のでこぼこ坂道で本当に疲れます。
Museum前のCaféで休憩しながら、この後の相談です。相談と言っても、こんな細い道ばかりの古い街では、タクシーなどもほとんどなく、結局歩くことに。疲れますが、少なくとも私は結構楽しいです。めいちゃんはウンザリしていたようですが。。。