Abbaye de Fontenay

世界遺産でもあるこの修道院は、12世紀初頭、華美になっていくカトリックに疑問を呈したシトー会の修道士たちが人里離れたこの地に修道院を創設し、装飾を一切排した聖堂を中心とした建物群の中で自給自足の祈りの生活を営んだ場所です。
修道士たちは聖堂に繋がっている広間のような部屋の石の床に藁を敷いて修道着のまま眠り、いつでも祈りを捧げられるようにしていたそうで、そのストイックな姿勢には圧倒されるばかり。
聖堂は、柱から天井へ続く美しい曲線以外は何もなく、ステンドガラスもシンプルそのもの。ただ、1体だけ聖母子像があります。

本来シトー会では偶像崇拝は禁止されていたそうですが、修道士たちのたっての願いでこの像だけは認められたとのこと。何か具体的な祈りの対象がないと不安だったのでしょう。なんとも、人間臭い逸話でホッとします。